2007年 05月 10日
アップリフターNo.7 |
Politicians are a lot like diapers. They should be changed frequently, and for the same reason.
1か月ほど前、出張から帰りの飛行機の中で、『マン・オブ・サ・イヤー』(Man of the Year)という映画を見ました。コメディアンがひょんなことからアメリカ大統領選に出馬、コンピュータのミスで当選してしまうという筋書きです。たわいのない映画ですが、主人公のコメディアンを演じるロビン・ウィリアムズが見事に笑わせてくれます。
映画の最後の最後に放つ一言が冒頭のもの。diapersというのはオムツのこと。1文目は「政治家はオムツとよく似ている」となります。つかみはバッチリ。続く”They should be changed frequently”は「よく取り替えること」。”for the same reason”は「同じ理由で」という意味です。まとめると、「政治家はオムツと同じ。よく取り替えること。理由はいつでも同じ」。
最後に理由の中身を聞き手に委ねていることで、ジョークとして上質の仕上がりが醸し出されています。私だったら、最後の部分を”for the same reason: They both stink.”にするところです。「理由はいつでも同じ――どっちも臭う」
“stink”は文字通り「悪臭を放つ」という意味のほかに、「悪評芬々(ふんぷん)」いう実に都合のいい意味も備えています。これなら「オムツ」にも「政治家」も当てはまる見事なオチになる――と思うのは素人。やはり余韻を残すジョークの方が高等でしょう。
アップリフターは「人を励ます言葉」です。それからすると、今回のジョークは本道から少し外れるかもしれません。ただ、ときに現実を笑い飛ばすのも気持ちをリフレッシュし、歩みをリスタートさせる大切な小道具です。大いに溜飲を下げて気分転換し、「よっしゃ、もう一丁がんばろう」と思わせてくれるようなジョークは立派なアップリフターになります。
インターネットで調べてみると、冒頭の一句は「作者不詳」(Author Unknown)になっています。実は、この「作者不詳」の政治ネタ・ジョークに結構おもしろいものがあることに、今回ウェブ・サーフィングをしていて気付きました。紙面の都合上、2編だけ紹介します。
“During a campaign the air is full of speeches – and vice versa.” このジョークのキーワードはair。ここでは、airに2つの意味が与えられています。「まわり」と「むなしい」。文章の最後にある”vice versa”は「逆もまた真なり」という意味のラテン語です。この2つを合わせて訳すと、「選挙のとき、まわりは演説であふれ、演説はむなしい言葉であふれている」。遊説中の政治家に対する有権者の眼差しは、グローバルに共有できるものでしょう。
“The Christian Right is neither.” これも言葉遊び。”Christian Right”というのはブッシュ大統領を支えている「キリスト教右派」で、これをおちょくった一句です。”Christian”は「キリスト教徒」という意味の他に「キリスト教的(で立派な)」、”Right”は「右派」の他に「正しい」という意味があります。この一文は、「キリスト教右派」はそのどちらでもないと言い放っています。つまりキリスト教的でも、正しくもないと。最近、キリスト教保守派の支持を受けた共和党議員のスキャンダルが目立つのはそのためと、つっこみを入れたくなります。
ジョークだけで終わるのもちょっと居心地が悪いので、「気持ちを高める」本道のアップリフターで締めを。地球環境問題を扱った映画『不都合な真実』でゴア前副大統領が言った言葉です。
“Our will to take action is itself a renewable resource.” 「行動を起こそうという私たちの意思それ自体が再生可能資源です」
紙おむつや悪評芬々の政治家は残念ながら使い捨てにするほかありませんが、政治的意思は再生可能です。どこまでもあきらめなければ。
1か月ほど前、出張から帰りの飛行機の中で、『マン・オブ・サ・イヤー』(Man of the Year)という映画を見ました。コメディアンがひょんなことからアメリカ大統領選に出馬、コンピュータのミスで当選してしまうという筋書きです。たわいのない映画ですが、主人公のコメディアンを演じるロビン・ウィリアムズが見事に笑わせてくれます。
映画の最後の最後に放つ一言が冒頭のもの。diapersというのはオムツのこと。1文目は「政治家はオムツとよく似ている」となります。つかみはバッチリ。続く”They should be changed frequently”は「よく取り替えること」。”for the same reason”は「同じ理由で」という意味です。まとめると、「政治家はオムツと同じ。よく取り替えること。理由はいつでも同じ」。
最後に理由の中身を聞き手に委ねていることで、ジョークとして上質の仕上がりが醸し出されています。私だったら、最後の部分を”for the same reason: They both stink.”にするところです。「理由はいつでも同じ――どっちも臭う」
“stink”は文字通り「悪臭を放つ」という意味のほかに、「悪評芬々(ふんぷん)」いう実に都合のいい意味も備えています。これなら「オムツ」にも「政治家」も当てはまる見事なオチになる――と思うのは素人。やはり余韻を残すジョークの方が高等でしょう。
アップリフターは「人を励ます言葉」です。それからすると、今回のジョークは本道から少し外れるかもしれません。ただ、ときに現実を笑い飛ばすのも気持ちをリフレッシュし、歩みをリスタートさせる大切な小道具です。大いに溜飲を下げて気分転換し、「よっしゃ、もう一丁がんばろう」と思わせてくれるようなジョークは立派なアップリフターになります。
インターネットで調べてみると、冒頭の一句は「作者不詳」(Author Unknown)になっています。実は、この「作者不詳」の政治ネタ・ジョークに結構おもしろいものがあることに、今回ウェブ・サーフィングをしていて気付きました。紙面の都合上、2編だけ紹介します。
“During a campaign the air is full of speeches – and vice versa.” このジョークのキーワードはair。ここでは、airに2つの意味が与えられています。「まわり」と「むなしい」。文章の最後にある”vice versa”は「逆もまた真なり」という意味のラテン語です。この2つを合わせて訳すと、「選挙のとき、まわりは演説であふれ、演説はむなしい言葉であふれている」。遊説中の政治家に対する有権者の眼差しは、グローバルに共有できるものでしょう。
“The Christian Right is neither.” これも言葉遊び。”Christian Right”というのはブッシュ大統領を支えている「キリスト教右派」で、これをおちょくった一句です。”Christian”は「キリスト教徒」という意味の他に「キリスト教的(で立派な)」、”Right”は「右派」の他に「正しい」という意味があります。この一文は、「キリスト教右派」はそのどちらでもないと言い放っています。つまりキリスト教的でも、正しくもないと。最近、キリスト教保守派の支持を受けた共和党議員のスキャンダルが目立つのはそのためと、つっこみを入れたくなります。
ジョークだけで終わるのもちょっと居心地が悪いので、「気持ちを高める」本道のアップリフターで締めを。地球環境問題を扱った映画『不都合な真実』でゴア前副大統領が言った言葉です。
“Our will to take action is itself a renewable resource.” 「行動を起こそうという私たちの意思それ自体が再生可能資源です」
紙おむつや悪評芬々の政治家は残念ながら使い捨てにするほかありませんが、政治的意思は再生可能です。どこまでもあきらめなければ。
by homaranisto
| 2007-05-10 21:00
| アップリフター/Uplifters